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    第7話 「マルコヴィッチの穴」セリフでキャラクター分析    
           
      ストーリー:
操り人形師クレイグ・シュワルツ(ジョン・キューザック)、ペットに異常な愛情を寄せる妻ロッテ(キャメロン・ディアス)、クレイグと同じビルに勤めるマクシーン(キャサリン・キーナー)、そして、ジョン・マルコヴィッチ。ある日、クレイグがオフィスに不思議な入り口を見つけたことから、4人は奇妙な関係になっていく・・。




どうやったらこんなおかしなストーリーが考えられる?全く先が読めない何とも奇抜なストーリーが魅力の映画ですが、その変テコなお話の中でも違和感がないのが舞台設定や登場人物のキャラクターです。とにかくこの映画にでてくる人たちは皆どこか普通じゃない。ということで、今回のテーマは、変な人たちの変な会話。セリフの英語を解説しながら、登場人物のキャラクター像に迫ります。


   
    Clipping 1: Floris@Lester Corp.    
     
人物1:レスター・コーポレーションのフローレス

求人広告を見て、レスター・コーポレーションという会社に面接に行くクレイグ。そこで受付の女性フローレスとこんなやりとりがあります。


Floris: Welcome to Lestercorp. How may we meet your filing needs? レスター・コーポレーションにようこそ。どのようなファイリング・サービスをお求めですか。
Craig: No, no. Um.. my name's Craig Schwartz. I have an interview with Dr. Lester. いえ、あの、私、クレイグ・シュワルツです。ドクター・レスターとの面接にきました。
Floris: Oh. Please havea seat. Mr. Juarez. ああ。どうぞ、お座りください、ウォレスさん。
Craig: Schwartz. シュワルツです。
Floris: Pardon? はい?
Craig: Schwartz. シュワルツ。
Floris: I, I'm sorry. I have no idea what you're saying to me right now. ごめんなさい、何をおっしゃっているのか全くわかりませんが。
Craig: My name is Schwartz.   私の名前はシュワルツです。
Floris: My name is Warts?   私の名前はウォーツです。


「シュワルツ」を「ウォレス」と聞き違え、訂正しようとするクレイグの言葉も理解しないばかりか、"I'm sorry..." とまるでクレイグが的はずれなことを言っているかのような態度。"I have no idea.." は、「検討つきません」「わかりません」という意味です。"My name is Schwartz." というクレイグの返答に "My name is Warts?" と自分の名前を言って返しているという理解力のなさ。でも、こういう人ってホントにいますよね!?

クレイグはあきらめて椅子に座りますが、さらに会話は続きます。まず、和訳なしで見てみましょう。



Floris: Mr. Juarez?
Craig: Oh, yes.
Floris: Chest?
Craig: I said, "Yes."
Floris: You suggest what?
  I'm sorry I have no time for piddling suggestions from mumbling job applicants. Besides, Dr. Lester will see you now.


この会話の意味、わかりますか?クレイグの返事 "Oh, yes." がフローレスには "Chest" に聞こえ、さらに、"I said, 'Yes." が "You suggest" に聞こえたので、"You suggest what?" と聞き返しているのです。クレイグのセリフを何度も聞いてみると、たしかにそう聞こえないこともないですが・・。何ともちぐはぐな会話です。これに対してフローレスは全く理解せずに「悪いけど、意味不明な面接者の提案にいちいちつきあう時間はないの」と、完全にマイペース。思いこみが激しい性格のようです。

そして、クレイグは面接のためにドクターレスターのオフィスに入っていきます・・・。



   
    Clipping 2: Dr. Lester@Lester Corp.    
     
人物2:レスター・コーポレーションのドクター・レスター


Dr. Lester: Come in, Mr.Juarez. ウォレスさん、お入りください。
Craig: Actually, my name is Craig Schwartz, Dr. Lester. 実は、私、クレイグ・シュワルツです。
Dr. Lester: Security! セキュリティー!
Craig: No, sir, it's ... it's just a little mix-up with your secretary. My name is Craig Schwartz. I tried to explain that to her. いえ、、、あの、ちょっと秘書の方と分かり合えなかったようで・・私の名前はクレイグ・シュワルツだと説明しようとしたんですが。
Dr. Lester: She's not my secretary. She's what they call an executive liaison. 彼女は秘書ではありません。いわゆる連絡主任ですよ。
Craig: Ah. あぁ。
Dr. Lester: And I am not banging her, if that's what you're implying. それに彼女を叱る気はありませんよ、あなたがそれを暗に望んでいても。
Craig: No, sir, not at all. I think I must have simply misspoke. いえ、全くそんなつもりはありません。私の言い方がまずかったんだと思います。


ここで 「私、本当はクレイグ・シュワルツです。」と話し出すクレイグの言葉を聞くと、いきなり「セキュリティー!」と、インターホンに叫ぶドクター・レスター。不振な人物→危険→警備員を呼ぶという短絡的な行動。さまざまなことが起こりうる大都会ニューヨーク社会の有様を垣間見た気がします。また、フローレスのことをきっぱり「秘書ではありません」と、ドクターレスターは、なかなか一筋縄ではいかなそうな感じを見せています。


Dr.Lester: Ah. Well, now, tell me, Dr.Schwartz, what do you feel you can bring to Lestercorp? それではドクター・シュワルツ。君はレスター・コーポレーションで何ができるかな?
Craig: Uh, well, sir, I'm an excellent filer. はい、あの、私はファイリングが得意です。
Dr. Lester: Are you? All right. Let's see about that. Tell me, which of these two letters comes first? This one or this one? そうかい?では、見てみよう。さて、この二つの文字のうち、どちらが先に来る?
Craig: The symbol on the left is not a letter, sir. 左側は文字ではないですが。
Dr. Lester: Damn, you're good.
I was trying to trick you. Well then, put these in order.
ちくしょう、できるな。ちょっと引っ掛けようとしたんだよ。それじゃぁ、これを順番に並べてみてくれ。
Craig: Yes, sir. はい。
Dr. Lester: Floris, get Guinness on the phone. フローレス、ギネスを電話に出してくれ。
Floris: Yes, sir. Genghis Khan Capone, fine. はい。ジンギス・カン・カポネ、OKです。
Dr. Lester: Damn fine woman, Floris. I don't know how she puts up with this speech impediment of mine. なんたるキレる女性だ、フローレス。私の言語障害によく耐えていると感心するよ。


最初に気むずかしそうな態度を見せておきながら、今度はクレイグを引っ掛けようとしたり、いきなり友達に話すような口調で「ちくしょう、できるな」(Damn, you're good)などと、ドクター・レスターは、まじめなのか、ふまじめなのか・・?こんな面接ってアリ!?

問題のフローレスはここでも聞き違いをします。「ギネスを電話に出してくれ」(Get Guinness on the phone) の返事に、"Genghis Khan Capone, Fine." とは、全く意味不明の返事。"Genghis Khan" とは、ジンギス・カンのこと。"Capone" は、カポネ。いったい "ジンギス・カン・カポネ" の何が "OK" なのでしょう???一方、ドクターレスターは、フローレスを "Damn fine woman." と言い、自分の方が言語障害だと思っています。変な会社の変な人たち・・。



   
    Clipping 3: Craig's Wife, Lotte    
     
人物3:クレイグの妻、ロッテ

面接の後、クレイグが自宅アパートで妻のロッテと共に食事の支度をしています。周りはペットだらけ。アパートの隣人がペットの鳴き声がうるさいと叫んでいるのが聞こえます。


Voice: Shut up! うるさい!
Lotte: Sorry! すみません!
Parrot: Help! She's locking me in a cage. 助けて!篭に入れられちゃうよ。
Lotte: Isn't that cute? I just taught him that today. かわいいでしょ?今日、教えたのよ。
Craig: Yeah, that's adorable. あぁ、なんてかわいらしい。
Lotte: You want to do some dishes for me? Here Elijah, here you go...
You know, I have an appointment tomorrow morning with Elijah's shrink. Yeah. I think we're finally getting down to the bottom of this acid stomach, aren't we? Come here.. She thinks that it's some sort of childhood trauma. Feeling of inadequency as a chimp, you know? Isn't that interesting? I find it really interesting..
イライジャ、お皿を洗ってくれるの?こっちよ、イライジャ・・。あのね、明日の朝、イライジャの精神科のお医者さんに行くのよ。ついに胃酸過多の原因を突き止めるのよ、ね?こっちよ・・。先生、児童トラウマかなんかだって言っるの、チンパンジーとしての不適応性を感じているんじゃないかって。それっておもしろくない?すごく興味深いと思うわ・・。


映画の冒頭シーンでもオウムが、"Honey, get up!" と言ってクレイグを起こしていましたね。今度は、「助けて!篭に入れられちゃう。」という言葉を教えたというクレイグの妻、ロッテは、自らペットショップに勤めるペット狂。なんとペットのチンパンジー、イライジャまで精神科に見せるほど、異常にペットをかわいがります。

「精神科医」を意味する "shrink" は、映画再頻出スラングなのでぜひ覚えましょう。こんなスラングが映画に頻繁にでてくること自体、精神科医にかかるアメリカ人が多いことを表しています。アメリカ人のペットに対するアメリカ人の思い入れというのはとても強い気がします。動物愛護団体なども社会的な影響力を持っています。



   
    Clipping 4: Maxine@Marin Flammer Bdg.    
     
人物4:Martin Flammer Bdgに勤めるマクシーン

同じビルに勤めるマクシーンとバーで待ち合わせたクレイグ。待ち合わせの時間ぎりぎりに到着します。


Craig: Made it, I made it, Maxine. 間に合った。マクシーン。
Maxine: Just. ギリチョン。
Craig: Buy you a drink, Maxine, Maxine? 何か飲む?マクシーン?
Maxine: Are you married? あなた結婚してるの?
Craig: Yeah. But enough about me. うん、でも、もうたくさんだよ。
Maxine: Yeah. そう。
Craig: What'll you have? 何、飲む?
Maxine: Uh, I'll have more of the same, please, Barry. うーん、これと同じものをいただくわ、バリー。
Craig: And I'll have, uh, a light beer or something. 僕は、ライト・ビールか何か。
  So, uh, I don't know, I, uh... I like you. I don't know what it is about you. I just. それでさ、よくわからないけんだけど、君、どこか魅力あるんだよね。どこがって言われてもわからないけど・・。
Maxine: My tits? パイオツ?
Craig: No! No, no, no, no. ち、違うよ!
Maxine: No? 違うの?
Craig: It's your energy, the way you carry yourself. 君のエネルギーさ、雰囲気とか・・。
Maxine: You're not a fag, are you? ホモじゃないわよね?
Craig: No, I am really attracted to you. いいや、僕は君にとても惹かれている。
Maxine: No, I am really attracted to you. Christ, you are a fag. 「いいや、僕は君にとても惹かれている。」げっ、ホモなのね。
Craig: I love your tits. I wanna fuck'em. 君のパイオツがスキ。君とやりたい。
Maxine: Now we're getting somewhere.
Not a chance.
それでいいのよ。
あり得ないけど。
  So, tell me about yourself, huh? If you can get your mind out of the gutter long enough, dog boy. で、あなたのこと聞かせてよ、エッチな妄想はしばらく忘れて。
Craig: Well, I'm a puppeteer. I've been... 僕は、人形使いをしてるんだ、それで・・
Maxine: Check! お勘定!


"I made it." ここでは、「間に合った」。他にも、「やったぞ」「できたぞ」など、いろいろな意味でよく使われる口語表現です。

"(Can I) buy you a drink?"(一杯どう?おごるよ)お酒をおごるときにはこう聞きます。食事の時は、"Can I buy you a dinner?" これも口語表現です。

このバーは、どうやら日本人経営という設定のようで、周囲の客は皆、日本人(しかも男性)。バックに日本語が聞こえています。ここはマクシーンの馴染みの店のようですが、こんなバーを指定して待ち合わせをするというのも変わっていますネ。

「どこがって言われてもわからないけど、君って魅力あるよね」と言われ、いきなり「パイオツ?」と答えるストレートなマクシーン。「おっぱい」のスラングとして "tits" が出てきていますが、これも映画頻出スラングなので要チェックです。

マクシーンの唐突な言い方に思わず困ってしまうクレイグですが、そこでマクシーンは、「ホモじゃないわよね」。大胆です。"fag" というのは「ホモ」の意味のスラングですが、失礼な言い方なので注意が必要。ゲイ人口の多いニューヨークに生きるマクシーンは、初デートで相手がゲイかどうか確かめる習慣がついてしまったのかも。

そして、クレイグが人形使い (puppeteer) だと聞いたとたん、「お勘定!」 (Check!) と叫んで帰ろうとするマクシーン。このドライな考え方、好き嫌いがはっきりしていていかにもニューヨーカーという感じですね。



   
    Clipping 5: John Malkovich (+Charlie )    
     
人物5:ジョン・マルコヴィッチ(チャーリー・シーン)

映画のタイトルにもなっている俳優のジョン・マルコヴィッチ。マクシーンとの奇妙な体験に怖くなったマルコビッチは、友人のチャーリー・シーンを電話で呼び出します。


John: No, man, I'm sorry to..I'm sorry to have called you like that, but I was just really, really, scared. I was so freaked out. I mean, it was like... somebody was just moving all the way through me. moving my arms, moving my hands, talking for me. I mean, literally, I feel like I'm going crazy, Charlie. いや、すまないね、こんな風に呼び出して。だけど、僕、すごく、すごく怖くて、ビビっちゃって。まるで誰かが僕の中で動き回っているみたいな・・誰かが僕の腕や手を動かして、僕の代わりにしゃべっている。ホントに、文字通り、気が狂いそうだよ、チャーリー。
Charlie: I'm sure you're not going crazy. 大丈夫、狂ったりしないよ。
John: You don't understand, man. It was like nothing I've ever felt before. もう、わかってないよ。こんなことって今までなかったんだよ。
Charlie: Yeah, yada, yada, yada. Were you stoned? はいよ、へらへらってか。ラリってたんか?
John: Yes. Yes, I was.. Jesus. Yes, Yes, I was stoned. But what.. that doesn't have anything to do with it. Charlie, someone was talking through my mouth. うん、ラリってたけど、でも、それとこれとは違うんだよ。チャーリー、誰かが僕の口を使ってしゃべってたんだ。
Charlie: You were stoned. Case closed. End of story.How hot is this babe? ラリってたんだよ。それだけだよ。おしまい。その彼女、すげぇのか?
John: You know what? Maybe it was this Lotte woman talking because it could have been her talking though me. Because this .. the weired thing is..this Maxine likes to call me Lotte. そうだ、もしかして、ロッテっていう女が話していたのかも。だって・・おかしなことに、マクシーンは僕のこと、ロッテって呼びたがるんだ。
Charlie: Ouch. That's hot. Maybe she's using you to channel some dead, lesbian lover. Sounds like my kind of gal. Let me know when you're done with her, yeah? あちゃ。そりゃすげぇ。死んだレズの恋人を呼び出して乗り移らせているんじゃないか。オレ好みだな。お前の後にはオレによこせよな。
John: What are you talkng about? Done with her, man? Tonight really freaked me out. 何言ってるの?後でよこせ?今夜はホントにビビったんだよ。
Charlie: You're nuts to let a girl go that calls you Lotte. I'll tell you that as a friend. お前、イカれてるよ、女にロッテって呼ばせるなんて。友達として言っとくけどさ。
John: Charlie, I don't know anything about the girl. She could be, like, a fucking witch or something. チャーリー、僕だって彼女のことは何も知らないんだ、彼女、魔女か何かかもしれない。
Charlie: That's even better! そいつぁ、ますますすげぇ。
John: I gotta know the truth, Charlie. 本当のことをつきとめなきゃ、チャーリー。
Charlie: The truth is for suckers, Johnny boy. 真実なんて腐った奴のためのもんだよ、ジョニー坊や。


すっかり恐れおののいているマルコヴィッチの話をちっともまじめに聞かないチャーリー。対照的なやりとりが面 白いシーンです。
「ビビっちゃって」「おったまげて」の意味で "I was freaked out" という言い方をします。スラング表現です。
ナーバスになって話し続けるマルコヴィッチに、チャーリーは、"Yeah, yada, yada, yada" と、面倒くさそうに対応しています。この "yada, yada, yada" とは、「へらへら、くだらないことをしゃべる」の「へらへら」に相当するような言葉です。同じような言葉で "blah blah" というのもあります。

その後も、スラング連発のチャーリーのセリフに注目です。
"We're you stoned?" "Yes, I was stoned "の "stoned" はわかりますね?「(マリファナなどで)ハイになる」、の意味のスラングです。よく聞きます。
"Ouch. That's hot." 女性の話で "That's hot" と言えば、強い性的魅力のある女性を指します。
"Sounds like my kind of gal." "my kind of gal"「オレ好みのギャル」
"You're nuts" はお馴染みの表現で、「イカれてる」ですね。
"That's even better!" もよく使われる決まり文句です。「そいつぁ、ますますいいや!」
"The truth is for suckers." "suck" は、「最悪だ」という意味のスラング。"That movie sucked"(あの映画、サイテーだった)というように使われます。"suckers" で、「最悪な奴ら」。


と、こんな登場人物たちによる、とっても不思議で笑える映画。どんな内容か想像つきますか?多分、こんなストーリーを予想できる人はいないでしょう・・・。



   
     
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