The Prowler (1981)
(ローズマリー）

＜作品データ＞
リージョン： ALL
制作： Blue Underground
映像仕様： LBX
音声仕様： Dolby Digital Mono (English)
作品時間： 89分
画面比率： 1.85:1
CC： No
字幕： None

1945年、ニュージャージー州の田舎町アヴァロン・ベイ（※）に住む女学生ローズマリー（ジョイ・グラキューム）は第二次世界大戦に参戦したボーイフレンドの帰国を待ちきれず、彼に別れの手紙を送る。それから3か月後、彼女は卒業記念のダンス・パーティーの席で意気投合した同級生ロイ（ティモシー・ワウラー）と2人して席を外し、夜の公園に向かう。しかし、この時点では既に帰国していたボーイフレンドはその場で2人を惨殺してしまうのだった。
そして、1980年のアヴァロン・ベイ。卒業パーティーの準備が進む中で、新聞部の部長を務める女学生パム（ヴィッキー・ドーソン）は、彼女のボーイフレンドにして保安官助手でもあるマーク（クリストファー・ゴートマン）に対してクラスメートのリサ（シンディー・ワイントローブ）やシェリー（リサ・ダンシェス）が関心を抱く様を見て誇りに思うと同時に心配もしていた。しかし、町の近くに逃走中の凶悪犯が出没したにも拘らず、保安官（ファーリー・グレンジャー）が以前からの予定通りに休暇旅行に出掛けてしまうと、パムの心配事はマークが問題の凶悪犯と接触する事態になるのではないかと云う内容に変わる。しかし、マークやシェリーの努力もあって、彼女は予定通り卒業パーティーに出掛けることにするのだった。ところが、そのパムらがパーティーに参加しているも、シェリーは1人で寮に残ってボーイフレンドのカール（デヴィット・セダーホン）を待っていた。そして、彼女の部屋に到着するや否や惨殺されてしまったカールに次いて、シャワー中だった彼女も腹部を刺されて殺されてしまうのだった。それから間もなく、リサの悪戯で服を汚されてしまったパムはその交換の為に戻った寮の中で軍服姿の不審者に遭遇してしまい、慌てて逃げ出すハメに。しかも、寮の外で彼女はローズマリーの父親にして退役軍人のチャタム（ローレンス・ティアリー）にまで襲われたのである。そして、この話を聞いたマークはチャタム邸を訪れるものの、何も発見出来ない。
そこで、パムを襲ったのは問題の凶悪犯かも知れないと考えたマークはパーティー会場に出向き、その主催者サイドに対して参加者への警告を発するように要請する。しかし、その警告の前に会場を出て、プールに行っていたリサは殺人鬼に惨殺されてしまうのだった...

（※）この「アヴァロン・ベイ（Avalon Bay)」は架空の町であり、実際のロケはニュージャージー州ケープ・メイ(Cape May)市で行われている。但し、そのケープ・メイ市の北部には「アヴァロン(Avalon)」と云う場所が実在するので、「アヴァロン・ベイ」と云う固有名詞自体はそこに由来するものと思われる。

イタリア製のジャーロ映画の影響を受けて制作された『ハロウィン』（1978年)や『13日の金曜日』(1980年)のヒットにより、北米では多くの類似作品が制作されたが、本作はその中でも特に出来の良い分類に入る秀作である。とは云えども、この映画の脚本家コンビ（ニール・バーバラ&グレン・レオポルド）は本場イタリア製ジャーロを模倣しようとして完全に失敗した『仮面のレジデンス』(1985年)で悪名高いだけに、本作も脚本が特に優れているわけではなく、むしろ強みはジョセフ・ジドー監督の抑えた演出とトム・サヴィーニの過激な特殊メイク効果担当が相乗的に生み出したダークなホラー効果にこそある。実際に、このJ.ジドー&T.サヴィーニの名コンビは「13日の金曜日」シリーズで最高の出来を誇る『13日の金曜日 完結編』(1984年)でも本作と同類の効果を生み出すことでホラー映画ファンを歓喜させるに至るのである。
又、この映画で実質的に主役を務めるのは本国アメリカのTV界で高い人気を誇っていたヴィッキー・ドーソンであるが、『ソー・スウィート、ソー・デッド』(1972年)を初めとする本場イタリア製ジャーロに多数の出演歴を誇る名優ファーリー・グレンジャーが保安官を好演していると云う点も注目に値しよう。

(1)Audio Commentary with Joseph Zito and Tom Savini
本作で共同製作と監督を務めたジョセフ・ジドーと特殊メイク効果を手掛けたトム・サヴィーニによるコメント(音声のみ)。これは単独で聞けるものではなく、ON/OFF可能なコメントが本編全体に被さると云う形を採っている。従って、2人のコメントは本編(89分)とほぼ同じ長さに及ぶ濃厚なものである。
この非常にアット・ホームな雰囲気を持つコメントは殆ど全てのシーンに対して2人が語り尽くすと云うマニア泣かせのものであり、例えば「プール殺人」の撮影は困難を極めたことや、終盤で殺人鬼に襲われるシークエンスの撮影ではヒロイン役のヴィッキー・ドーソンが安全性を強く懸念していたこと等が手に取るように把握出来る上に、本作と関連作品（特に『13日の金曜日 完結編』）とのつながりも良く分かる。

(2)Tom Savini's Behind-The-Scenes Gore Footage
これは本作の特殊メイク効果の舞台裏を紹介したものであり、長さにして約9分半である。内容は本作に登場する惨殺シーンの撮影風景を収めたものだが、非常に断片的である上に、個々の解説等も一切ないので、(1)のコメント内容と組み合わせる必要があろう。

(3)Theatrical Trailer
本作の予告編一本。これは元々アメリカ本国向けに制作されたものであり、海外向けのものではない。

(4)Posters & Still Gallery
ここには世界各国のポスターだけではなく、舞台裏の写真も含まれる。その中には日本公開(タイトルは『ローズマリー』)当時の資料も含まれており、興味深い。

アナモルフィック・ワイドスクリーン（比率1.85:1）。
1980年代前半のアメリカ製ホラー映画の常として、本作も元々ソフトな画質を最大の特徴とする。従って、今回のDVDも今日の映画に比べるとソフト感があるのだが、『ローズマリー・キラー』と題された日本版VHSに比べると、遥かにシャープである。
尚、この映画は終盤シークエンスに入ると画質のソフト度が高まるのだが、これは演出上、意図的に成されたものである。因みに、このDVDには字幕やCCは入っていない。

Dolby Digtalのモノラル音声（オリジナル英語）のみ。
これは特別に優れているわけではないが、台詞は明瞭であり、又音楽と音響効果の分離もほぼ完全に成されているので、全体的には上出来であると云えよう。