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Bad Company (1972)
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ベントンの堂々たる処女作    [ by  アキ  ]   2005/03/14
    作品:4     画質:5     音質:4     特典:1

近作『白いカラス』などでも知られる、ロバート・ベントン監督のデビュー作は、西部劇であった。ベントンは一貫して、映画の登場人物を余計な思い入れをせずにクールに見つめる。この映画は、南北戦争のために若者が無理矢理に徴兵されるところから始まる。家から引きずり出されてきたまだ少年ともいえる若者は、なんと女装している。スカート姿の少年はそのまま檻のような馬車に揺られて、ゆっくりと家族のもとから遠ざかっていくのである。文字通りの意味でこんなに「女々しい」西部劇がほかにあっただろうか!1960年代、マカロニ・ウエスタンの出現で無政府状態と化した西部劇。1970年代になって、ベントンはもう一度西部劇を本来あるべき姿へと復建しようと試みている……のかどうかは分からないが、ベントンの演出はデビュー作とは思えないほどに端正で手堅い。それが逆に、何気なく挿入される暴力描写を際立たせている。たとえば、ジェフ・ブリッジスがしとめた兎をさばく場面の生々しさはどうだろう。盗みを働いた幼い少年が、無惨にも頭部を撃ち抜かれて殺されるシーンの残酷さはどうだろう。全体が静謐ともいえる作風だけに、こうしたヴァイオレンスは鮮烈だ。アメリカの純朴な時代を、感傷的に描くかに見えて、その見せかけの純真さとは裏腹のドロドロした暗部をさらっと見せていく、というベントン節は、『プレイス・イン・ザ・ハート』へと継承されていく。作品のノスタルジックな雰囲気に貢献しているのはゴードン・ウィリスのカメラである。
本DVDでは、陰翳豊かなウィリスの映像美(秋の紅葉の見事さ!)を堪能できる。善悪の構図が単純だという理由で西部劇を毛嫌いしている人はもちろん、『白いカラス』を含め寡作ながら粘り強く作品を作るベントンをもう一度見なおしてみてはどうか。DVDとして、惜しいのは、オーディオ・コメンタリーや、インタビューといった映像特典が皆無であるところだ。

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