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    第6話 ネタバレあり!「マグノリア」の謎に迫る!    
           
      ストーリー:
LA警察官、その警察官が恋した女性、クイズ番組の司会者、クイズ少年、元クイズ少年、死にかけた老人、若い妻、老人の息子・・彼らはそれぞれ、偶然の巡りあわせによって互いの人生に絡みながら、やがて思いがけない一日の終わりを迎えようとしている。




・ ご注意 ・
たくさんの人物がパズルのように関係するこの映画には、謎がいっぱい。それ以上に話題になるのが全体未聞の型破りなラストシーン。実はこのラストシーンについては、たくさんのヒントが映画の中に隠されています。今回は、「マグノリア」のさまざまな謎に迫ります。ネタバレがたくさんありますので、未見の方はご注意ください!



   
    Clipping 1: 謎解きその1: タイトルの「マグノリア」とは?    
     
「マグノリア」はこの映画のポスターにも使われていたモクレンの花の名前でもあり、映画の舞台となったサン・フェルナンド・バレーに実際にあるストリートの名前でもあります。TVのクイズ番組司会者の妻ローズ・ゲーターが娘クローディアの家に向かう途中や、元クイズ少年ダニー・スミスが、深夜、勤め先の家具・家電製品販売店に向かう途中、LAPDジム・カーリングのデートの帰り道、などなど、登場人物が頻繁に通るストリートのことです。人々の行き交う交差点、人生のどん底にある人々が偶然にもすれ違う道、実はとても意味深なタイトルなんですね。


   
    Clipping 2: 謎解きその2: 冒頭の3つのエピソード    
     
映画の冒頭で、ストーリーとは直接関係のない3つのエピソードが紹介されています。それぞれで語られている「偶然」、気づきましたか?

1つ目のエピソードは、3人の強盗殺人犯の名字、Green、Berry、Hill をつなげると被害者の住んでいた地名 "Greenberry Hill" になるという偶然。

2つ目は、消防士が湖から消火用の水と共に引き上げてしまったダイバーは、その2日前に、消防士がカジノで喧嘩をしたディーラーだったというエピソード。

3つ目は、飛び降り自殺を図った息子が建物から落ちていく途中で、その母親が偶然、窓から息子を射殺してしまったという信じられないような話。現実は、まるで映画のように偶然の積み重ねかもしれない・・・と思わせられます。



   
    Clipping 3: 謎解きその3: クローゼット殺人の犯人は?    
     
ロス警察のジムによって、アパートの一室にあるクローゼットから死体が発見されます。この事件ではアパートの住人であるマーシーが逮捕されますが、犯人は最後まで明らかにされません。このエピソードは何を意味するのでしょう?事件について、ラップ少年のディクソンが、ロス警察のジムに犯人を教えてやるよ、と言ってラップを披露しますが、このラップの内容、一見、全く意味不明。でも、ラップの最後の方でこのように言っています。

I'm the prophet-- the professor
I'ma teach you about the worm
Who eventually turned to catch wreck
With the neck of a long time oppressor..

"I'm the prophet" の "prophet" とは「予言者」の事です。予言者として "worm" について教えるよ、と言っています。この "worm" ですが、後に、警察でマーシーが尋問されるシーンで、刑事がこんな質問をしています。

"Where is your son?" (息子はどこだ?)
"Did he fight with your husband?"(息子と旦那が喧嘩したのか?)
"Do they call him the worm?"(そいつが "worm" と呼ばれているのか?)

このセリフは、"worm" とはマーシーの息子のことで、彼は何か事件と関わりがある可能性を示唆しています。ここで、刑事の "Do they call him the worm?" という声にオーバーラップして、ジャンパー姿の男性がTVを観ているラップ少年を連れていくシーンが映ります。このジャンパー姿の男性が "worm" で、マーシーの息子・・と考えると、その男性と一緒にいるラップ少年が犯人についての手がかりを知っていてもおかしくないことになりますね。しかし、事件の手がかりはこれだけです。これで犯人を推理するのはちょっと無理というもの。結局、事件の犯人は、ストーリー上では重要ではないのか、"worm" の意味はそれぞれ観る人の解釈に任されているのか、残念ながら、この映画では答えを与えてくれません。あなたなら、どんな推理をしますか?



   
    Clipping 4: 謎解きその4: 雨の確率、82%    
     
映画の始めの方のカットに、"Partly Cloudy, 82% Chance of Rain" というテロップが出てきます。82%とは不思議な数字ですが、アメリカの天気予報はここまで細かい数字で確率を示すのかと思ったら大間違い。この82という数字、実は、この映画の結末と深い関わりがあります。それは最後のお楽しみとして、この映画、意図的に観客に天気を意識させようとしているふしがありますね。例えば、クイズ少年のスタンリーがエレベーターの中で、TV局の女性にその放送局での天気予測のシステムについて質問しています。室内のシーンでも背景の窓ではひどい雨が降っているのが見えるし、登場人物が何度も "cats and dogs" と口にします。

"cats and dogs"は「土砂降りの雨」という意味ですが、この表現はよく使われますので是非ここで覚えましょう。恐らく犬と猫が喧嘩をしているような騒々しい音を立てて雨が降っていることから来ていると考えられます。日本語の「バケツをひっくり返したような雨」のことですね。

例文: It was raining cats and dogs, and I decided not to go out. (土砂降りの雨だったので出かけるのをやめた。)



   
    Clipping 5: 謎解きその5: アレが空から降ったことの意味は?    
     
この映画の結末には誰もが唖然とすると思いますが、なぜ、空から降ってくるものは、あの物体でなくてはならないのでしょう? この怪奇現象は、イギリスで実際に起こったことがあるという逸話もありますが、カエルというのはそもそも西洋では重要な生物でした。古代エジプト人はカエルを神々の一つと考えていたり、古代ローマ人はカエルを見ればその社会の状態が分かると考えていたとも言われています。

この映画では、旧約聖書の「出エジプト記」の中のモーゼの十災を引用したことは明らかです。イスラエル人奴隷を解放しようとしないエジプト王に対し、モーゼはカエルを大発生させ、エジプト中をカエルで埋め尽くしたというエピソードが「出エジプト記」8章2節に出てきます。実際の聖書のこの部分には、次のように書いてあります。

If you refuse to let them go, I will plague your whole country with frogs.

つまり、神は、罪深き人々への戒めとしてカエルによる罰を与えたのです。この映画では、登場人物が何かしら罪を犯していて、それによって人生でも最悪の状態に陥っています。最後の救いであり、戒めであるカエルがこの映画のオチとなっています。

勘のいい人はもうおわかりですね?「雨の確率 82%」の8と2という数字は、この結末、「出エジプト記 8章2節」と引っかけているのです。これ意外にも、8と2という数字は映画のあちこちに出てきます。ロス警察のジムがメッセージを残してくださいとうメッセージボックスの番号が82(eight-two)、冒頭のエピソードでギャンブル中の消防士が、「2」が欲しいと言いますが出てきたカードは「8」・・、などなど。

また、シーンの背景の中に「82」という数字が何度も出てきます。中には、はっきり "Exodus(出エジプト記)82"と書いてあるものもあります。例えば、クイズショーの番組中に観客の持っているカードの中に "Exodus 82" という文字が見えます。ほかにも、数多くの「82」が出てきます。みなさんは、いくつ発見できましたか?



   
     
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