Blade Runner: The Five-Disc Complete Collector's Edition (Blu-ray)
(ブレードランナー）

作品データ
リージョン：ALL
制作： Warner
映像仕様： LBX
音声仕様： Dolby Digital TrueHD 5.1 (English), Dolby Digital 5.1 Surround (English), Dolby Digital 5.1 Surround (English)
作品時間： 0分
画面比率： 2.40:1
CC： Yes
字幕： English,Spanish,French,Portuguese,Japanese,Korean,Chinese

2019年ロサンゼルス。宇宙植民地された惑星から４体の人造人間"レプリカント"が地球に潜入。敏腕の元特別捜査員"ブレードランナー"のデッカードが4人の捜索、暗殺の為に追跡を開始する…。
リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演のハードボイルドSFの傑作「ブレードランナー」。独創的なプロダクション・デザイン、緊迫した追跡劇により今もなお多くの熱狂的なファンを持つカルト作だ。

本作は1982年の初公開時から「アメリカ公開版」と「インターナショナル版」の二つのバージョンがあったが、10年後には監督自身が再編集した「ディレクターズカット」が公開され、さらに2007年にデジタル処理が加わった「ファイナル・カット版」が登場。加えてファンの間では幻のワークプリント版 (試写版) の存在が噂され、いくつものバージョンが存在する作品としても知られていた。

米国盤ではこれまでにインターナショナル版とディレクターズ・カット版がDVD化されていたが、2007年12月、現存する5つのエディションすべてを収録したセットが登場。フォーマットはDVD、HD DVD、Blu-rayが揃っている。

今回ご紹介するのはHD DVDとBlu-ray。それぞれ5枚組「コレクターズ・エディション」と、特製ケースに5枚組「コレクターズ・エディション」に加えて特典アイテムを封入した「ブリーフケース入り限定盤」の二種から選ぶことができる。クオリティは画質、音質、作品、特典すべてが五つ星のファン必携のアイテムだ。

5枚組セットのうち、ディスク#1、#3、#5はリージョンの心配のないハイデフィニション・ディスク (HD DVDはリージョン設定なし、Blu-rayは日米共通のリージョンA)。特典映像のみが収録されたディスク#2と#4はスタンダードDVDだがリージョンはオールなので日本製の機器での再生にも問題なし。コレクターズ・エディションで定価$39.99、ブリーフケース入りでも定価$99.98と、米国盤ならではの手頃な価格もファンの強い味方だろう。

本コレクションのハイライトは2007年ファイナル・カット版に日本語字幕が付いていること（残念ながらスタンダードDVD盤には日本語字幕は無いため要注意）。
そして、ディスク#5の幻のワークプリント版。加えて、カットシーンや未公開映像の数々 -- 序盤で屋台の主人がデッカードに向かって言う迷台詞「二つで十分ですよ」の「二つ」とは何か？レプリカント「レオン」に撃たれた後入院したホールデンの姿とは？デッカードの妻の存在？第5のレプリカントがいた？そして、デッカードとレイチェルの熱いラブシーン！？ すべてがこのコレクションで明らかになる！

盛りだくさんの収録内容のうち、ここでは絶対に見逃せないポイントを絞って内容をご紹介。

■ 5枚組コレクターズ・エディション
Blade Runner: The Five-Disc Complete Collector's Edition (Blu-ray)
Blade Runner: The Five-Disc Complete Collector's Edition (HD DVD)

＜ディスク#1：HD DVDまたはBlu-ray＞
本編：ファイナル・カット版 (2007年)
特典：3つのコメンタリーを収録：リドリー・スコット監督のコメンタリー、ハンプトン・ファンチャー (製作総指揮/脚本) やマイケル・ディーリー (製作) らによるコメンタリー、ダグラス・トランブル (特撮) やシド・ミード (デザイン) によるコメンタリー。

ポイント：監督の意図が最大に生かされたこのバージョンが、本編、特典ともにすべて日本語字幕付で楽しめる！画質、音質共にアメリカのレビューアーが最高得点を付けたお墨付きのクオリティ。

＜ディスク#2：DVD＞
特典：211分の長編ドキュメンタリー"Documentary Dangerous Days: Making Blade Runner"、ワーナーの新作予告編集。

ポイント：長編ドキュメンタリーは、関係者のインタビューと関連映像をつなぐ形式で構成されている。全体が8つのセクションに分かれており、脚本作り〜キャスティング〜デザイン〜撮影開始〜クランクアップまでの困難〜視覚効果〜ポストプロダクション〜劇場公開以降と、経緯を追って進行。キャスティングされなかった俳優を含め、考えうる限りのキャストとスタッフが登場しているからすごい。その人数だけでも驚くが、本作について何から何まで知ることができる、これ以上ない丁寧で詳細な内容には脱帽。英語字幕付。

＜ディスク#3：HD DVDまたはBlu-ray＞
本編：劇場公開版 (1982年)、インターナショナル版 (1982年)、ディレクターズカット版 (1992年) の3バージョン

ポイント：HD DVDディスクには、ポップアップメニューを活用すると各バージョンの比較が簡単にできる方法がある。どのバージョンでも再生途中で別のバージョンに切り替えてしばらく再生した後、また元のバージョンに戻っても先の停止位置から続けて再生することが可能だ。ワンシーン毎に3つのバージョンを切り替えて再生してみる事が出来面白い。Blu-rayはバージョンを選ぶ度に必ず冒頭から再生してしまうため、この機能はHD DVDに限って有効。監督によるイントロダクションにある通り、ディレクターズカット版が最も監督の意図に近いものになっており、劇場公開版→インターナショナル版→ディレクターズカット版の順で監督の意向がより実現されていることが確認できる。（バージョン毎に逐次切り替えながら再生可能なHD DVDは、3つのバージョンを一枚に収める事の意味を十分に活用出来ているメディアといえる。本コラム執筆時点では発売元のWarnerからはまだ何も発表されていないが、近い将来このHD DVDバージョンも自然消滅的に廃盤になっていく可能性は高い。）

＜ディスク#4：DVD＞
特典：アーカイブ映像集
"Inception" には原作者トリビュート、原作から映画化への発展、原作者フィリップ・Ｋ・ディックへのインタビューを収録。
"Fabrication" にはデザイン・チームの舞台裏、衣装デザインの舞台裏、不採用となった二人の女優のスクリーンテスト映像、撮影監督ジョーダン・クローネンウェスへのトリビュート、カットシーン/未使用シーン集を収録。
"Longevity" にはブレード・ランナー宣伝ポスターの歴史（公開当時〜2007年）、デッカードの本当の姿：デッカードはレプリカントか？人間か？（ハリソン・フォード他インタビュー含む）、「ブレード・ランナー」ファンの映画監督・映像作家等へのインタビュー、1982年に製作された舞台裏映像3つ、予告編集を収録。

ポイント："Fabrication" セクションに収録された、全体で47分ほどもあるカットシーン集 "Deleted and Alternate Scenes" は必見。オープニングからラストまでを未使用フィルム時系列順に繋いだ裏「ブレード・ランナー」ダイジェスト版ともいえるものになっている。全く異なるオープニングをはじめ、かなり雰囲気の違う内容を楽しめる。

＜ディスク#5：HD DVDまたはBlu-ray＞
本編：ワークプリント版（試写版）
特典："Future Noir: The Making of Blade Runner" (メイキング・オブ・ブレードランナー) の著者ポール・M・サモンによるコメンタリー、試写版のメイキング "All Our Variant Futures: From Workprint to Final Cut"

ポイント：ワークプリント版とは、本作公開前に観客の反応を見るために作られたリサーチ試写版のこと。この時の視聴者からの意見をふまえ、デッカードのモノローグが加えられたり、ハッピーエンドへの変更がなされた。画質、音質はかなり荒いが、迷台詞「二つで十分ですよ」の「二つ」が何かがはっきり映っている唯一のバージョン。（ちなみにそれはエビでは無かった！）

■ ブリーフケース入り限定盤
Blade Runner: Five-Disc Ultimate Collector's Edition (Blu-ray)
Blade Runner: Five-Disc Ultimate Collector's Edition (HD DVD)

ポイント：上記「コレクターズ・エディション」と全く同じ内容のケース＋ディスクを特製ブリーフケース（サイズはおよそ22x30x6cm）に収納。封入アイテムは、フィギュアとしてはこれまでレアな存在だった「ポリススピナー」のミニ・レプリカ、ユニコーン折り紙フィギュア、角度によって違うイメージを表示するデッカードのチェンジング・レンティキュラー、フォルダ入りシド・ミード画コンテ8枚、クリアー・シート状の「リドリー・スコットからの手紙」が付いている。10万3000個限定生産で、シリアル・ナンバーがついた正真正銘のコレクターズ・アイテム。

2008/03/04