Changeling (Blu-ray-UK)
(チェンジリング）

作品データ
リージョン：ALL
制作： Universal
映像仕様： LBX
音声仕様： DTS HD 5.1 Surround (English), DTS 5.1 Surround Sound (Spanish), DTS 5.1 Surround Sound (Japanese)
作品時間： 142分
画面比率： 2.40:1
CC： Yes
字幕： English,Spanish,French,Portuguese,Italian,German,Swedish,Danish,Finnish,Dutch,Norwegian,Japanese,Korean,Chinese

1928年、ロサンゼルス。クリスティン（アンジェリーナ・ジョリー）は、電話会社に勤めながら女手ひとつで最愛の息子ウォルターを育てていた。ある日、ウォルターを映画に連れていく約束をしていたクリスティンは急に会社に呼び出され、休日返上で職場に向かう。夕方、仕事を終えて家に戻ると留守番をしていたはずのウォルターの姿はなかった。クリスティンは直ちに警察に捜索願を出すが、手がかりがないまま月日が過ぎてゆく。

5ヶ月後、警察からウォルターが見つかったとの連絡を受けたクリスティンは心躍らせ会いに行くが、駅で待っていたのはウォルターではない別の少年だった。再調査を求めるクリスティンに警察はすさまじいほどの過酷な仕打ちをしてくる。やがてこの出来事を知ったグスダヴ・ブリーグレブ牧師（ジョン・マルコヴィッチ）がクリスティンに協力を申し出るのだが…。

実在した連続誘拐殺人鬼ゴードン・ノースコットによる「ウィネビラ養鶏場殺人事件」に関連して息子を取り違えられた母の実話を映画化。クリント・イーストウッド監督が寡黙なタッチで描いた見応えのあるサスペンス作品だ。壮絶な運命に立ち向かう女性の強さを熱演したアンジェリーナ・ジョリーはアカデミー賞主演女優賞にノミネート。陰湿になりがちなストーリーでありながら、アンジェリーナ・ジョリーのまばゆいばかりの美しさがすべてのシーンに華かな雰囲気を加えている。

腐敗する警察を追求してゆくジョン・マルコヴィッチ扮する牧師、頑として間違いを認めない警部（ジェフリー・ドノヴァン）、連続誘拐殺人鬼ゴードン（ジェイソン・バトラー・ハーナー）らの俳優の個性を生かし、それぞれ全く違う立場で生きる人間像を浮き彫りにしてゆく緻密な演出はさすがイーストウッドだ。

2009年3月に発売になったUK盤Blu-ray「チェンジリング」は、オリジナル日本語音声と日本語字幕付きで楽しめるためぜひ手に入れたい一本だ。大容量のBlu-rayディスクには多数の言語が収録されているものがあり、特にイギリスのユニバーサルから出ているBlu-rayの中には「キング・コング」「ウォンテッド」など、最初から10カ国語以上の仕様で収録されているものがある。ディスクをプレーヤーにセットするとまず言語選択メニュー画面が表示され、一番上の「日本語」を選択すると、「警告」メッセージ画面から日本語で表示され、メニューも完全に日本語仕様になりすべて日本語で操作が可能。「チェンジリング」のように日本ではDVD/Blu-ray化される前から、ひと足早く日本語付きで楽しむことができるのだ。（DVD Fantasium で取り扱っている日本語字幕付きBlu-ray全リストはこちら。）

多くの言語を収録していてもクオリティへの心配は全く無し。オリジナル画面比率2.40:1、1080pトランスファーの映像は黒が締まりコントラストが明瞭な最高レベルの画質。徹底した時代検証が行なわれたというセットや衣装の細部まで、余すところなくしっかり見せてくれる。1920年代の古さを感じさせる淡い光の具合が全編を通じてよく出ている。ややソフトなシーンはノスタルジックな時代やスモッグに覆われた当時のロサンゼルスを再現した意図的なものだろう。
5.1DTS英語音声は、ストーリーを多いに盛り上げてくれる非常にドラマチックなサウンドトラック。セリフ中心の進行でありながら効果音や音楽の活躍が際立ったまれなトラックと言えるだろう。会話は非常にクリアーで申し分ない。

特典映像のハイライトは二つのメイキング映像だ。「キャスト＆スタッフが語る製作秘話」では、イーストウッド監督がまるで魔法のように役者から自然な演技を引き出す様子が語られるほか、衣装やセットの製作に関するメイキング映像を収録。「アンジェリーナ・ジョリー：クリスティン役へのアプローチ」では、アンジェリーナ・ジョリーの役作りを中心とした短いインタビュー映像。どちらもHD収録なのが嬉しい。

また、Blu-ray特有の特典として、本編再生と同時にアーカイブ映像やインタビューを楽しめる「U-Control」、最新メイキング映像などにアクセスできる「BD-Live」 収録もある。BD-Liveのみ英語のみだがそれ以外はすべて日本語字幕が付いているのも嬉しい。

なおBlu-rayのリージョン区域は、日本と北米がリージョンA、ヨーロッパがリージョンBに分けられているが、本作はリージョンオールのため日本製のPS3やBlu-rayプレーヤーで再生が可能。Blu-rayはNTSC/PALの方式の違いが無いため特殊な再生機器は必要なく、日本盤Blu-rayと全く同じ感覚で鑑賞できる一本だ。

2009/04/28